キーパーソンインタビュー
女性としてのキャリアの築き方や、ワーキングマザーとしていきいきと働くコツなど、働く女性のロールモデルになりうる方、もしくは女性が輝くための制度や施策を導入している人事担当者へのインタビューです。
開発途上国でダイレクトに
貢献できる面白さ
国際協力の現場で、女性が活躍できる理由とは
独立行政法人 国際協力機構(JICA)
企業概要
開発途上国への技術協力・資金協力をおもな業務とするJICAは、「すべての人々が恩恵を受けるダイナミックな開発」をビジョンに掲げ、さまざまな援助手法を用いながら、開発途上国が抱える課題の解決を支援しています。また2016年には「女性活躍パワーアップ大賞」(ワーキングウーマン・パワーアップ会議主催)の奨励賞を受賞するなど、女性がキャリアを継続するための取り組みを組織的に行っています。
女性の活躍に関する数値データ
| 女性採用比率 | 50%(2015年度実績) |
|---|---|
| 女性従業員比率 | 35%(2015年4月1日時点) |
| 男女別の平均継続勤務年数 | ー |
| 男女別の育児休業取得率 | 男性7%、女性100%(2014年度実績) |
| 一カ月当たりの平均残業時間 | ー |
| 女性管理職の割合 | 12.4%(2015年10月1日時点) |
※いずれも常勤職員のみを対象とした数値。
キーパーソン インタビュー
日本の国際貢献の重要な柱である政府開発援助(ODA)を一元的に担う実施機関として、世界150カ所以上の国と地域で活動するJICA。民間企業からの転職を果たし、開発途上国支援の現場をエネルギッシュに駆け抜けてきた野村さんに、JICAでの業務内容や働く醍醐味(だいごみ)などのお話を伺いました。
「日本人として、日本として開発途上国をどう支援するのか」という視点で働きたい
JICAへ入構されるまでのキャリアについて教えてください。
野村:海外に目が向いたきっかけは、高校時代に1年間アメリカへの交換留学を経験したことでした。大学在学中にも再度アメリカに1年間交換留学して英語力や国際関係に関する知識をブラッシュアップしたり、難民問題に興味を持って国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)でインターンをしたりするなかで、自然と途上国開発や国際協力に関する仕事をしたいと考えるようになっていきました。
そのころ、マイクロソフトがUNHCRと連携してコソボの難民を支援したことを知りました。同社が寄贈した難民登録キット(登録データベースが入ったノートPCと、カメラ等がセットになったもの)によって難民の速やかな登録と新規IDの発行が可能となり、混乱のなかで離れ離れになった家族の再統合はもちろん、キャンプ内の男女比や年齢構成等のデータからどのような復興ニーズが存在するのか把握できるようになったのです。企業が人道問題に関わることによって、課題解決の糸口が見えてくるのではないかと感じた出来事でした。このことで、将来的には国際協力の道に進みたいという思いはあったものの、まずは民間企業がどのような考え方で社会貢献に関わっているのかを学びたいと考え、日本マイクロソフト株式会社に入社しました。
日本マイクロソフト入社後、最初は営業やマーケティングを担当し、後半の3年弱は希望がかないCSR(企業の社会的責任)に関する仕事に携わることができました。
なぜ転職したいと考えるようになったのでしょうか? 国際協力に携わりたいという気持ちが消えなかったということでしょうか。
野村:そうですね。退職して修士号を取るために留学することも検討していましたが、たまたまJICAの社会人採用を知って応募しました。
マイクロソフト本体はアメリカの会社なので、当時はアメリカの会社がいかに日本社会へ貢献するかという視点で仕事をしていました。グローバルな活動方針は米国本社が決めます。日本独自の活動もありましたが、やはり米国本社の考え方や方針が優先されました。
そうした中で、「日本人として、日本として」いかに国際社会、とりわけ開発途上国に関わるのか、という視点から国際協力に携わっていきたいと考えるようになりました。国際協力に携わる組織は多数ありますが、この点においてJICAは非常に魅力的でした。
初出張はジャワ島地震の緊急援助現場
JICAで担当されているお仕事について教えてください。
野村:最初の部署は国際緊急援助隊事務局というところで、災害発生時の国際緊急援助に関する業務を担当しました。初めての出張はインドネシア・ジャワ島地震における緊急援助の現場。医療チームの一員として活動しました。被災地での活動を通じ、JICAの組織的・人的なネットワークの強さをあらためて実感し、とても心強く思ったのを覚えています。その後アフガニスタン事務所に1年半ほど赴任し、産業開発・公共政策部を経て、社内留学制度を利用してハーバード大学ケネディ行政大学院へ留学しました。
1年間で修士号を取得し、帰国後は南アジア部というところで再びアフガニスタン担当として支援業務に当たりました。2015年9月からは広報室広報課に異動し、一般の方向けにJICAの活動やODAについてわかりやすく発信していく業務を担当しています。JICAの場合は、およそ2~3年で人事異動があり、私自身もさまざまな部署を経験しながらJICAの業務について理解を深めています。