「デジタル化専門官」として、前例のないICT改革に挑む
現在、神戸市では市庁舎内のICT(情報通信技術)業務改革を積極的に行っています。今回は、その取り組みをさらに推進するべく、プロジェクトマネージャーとしての役割を担う「デジタル化専門官」を募集します。情報化戦略部における当ポジションに期待することは何なのか、そして何を実現できるのか。同部で課長を務める森浩三氏と、外部からプロフェッショナル人材として入庁し、ICT業務改革専門官として活躍する砂川洋輝氏にお話を伺いました。
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募集期間:2019年10月31日(木)〜 2019年11月27日(水)
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ICTによる業務改革で、社会課題に立ち向かう
神戸市企画調整局 情報化戦略部 イノベーション担当 課長/森 浩三(右から4番目)
──神戸市では近年、ICTを活用した市政改革を積極的に進めていますが、その理由をお聞かせいただけますでしょうか。
近年、急速な少子高齢化・人口減少は日本全体に共通する課題となっていますが、神戸市も例外ではありません。また、時代や社会の激しい変化により、市民ニーズは複雑かつ多様化しています。こうした一つ一つの課題に対応するにはマンパワーが必要ですが、職員が抱える業務は多く、目の前のことに対応するのが精いっぱいなのが現状です。
この先、人口減少で職員が不足すれば、職員一人当たりの業務生産性を上げる必要があります。さらに、NPO法人や地域団体などと協同してプロジェクトを進めるケースも増えており、情報共有や細やかな連携が一層重要となっています。そうした背景もあって、2013年に就任し、現在2期目を迎える久元喜造神戸市長が、ICTによる市政改革を一気に加速させています。
──市が抱えるさまざまな問題の解決策の一つとしてICTの利活用があり、それを推進する中核を担うのが「情報化戦略部」ということですね。
そうです。行政サービス機能の向上や働き方改革、そして地域連携を進めるうえで、ICTは強力な武器になり得ます。私たち情報化戦略部では、庁内の情報システムの最適化や情報セキュリティ対策、ICT人材の確保や育成など、全体から各部署の業務の課題解決まで幅広く対応しています。
自治体の枠にこだわらず、前例のないイノベーションに取り組む
──今回、森さんのチームでプロジェクトマネージャーを起用されるわけですが、なぜ外部から「デジタル化専門官」を採用しようと考えたのでしょうか。
当初は、外部のコンサルタントに相談する方法も考えていました。しかし、イノベーションの提案だけでなく、再構築まで一緒に進められる人が必要だと感じ、採用に踏み切ることにしたのです。
また、私を含め、庁内にいるメンバーのほとんどはICT領域の素人。市長や副市長など、トップの理解を得ながらプロジェクトを進めていくには、世界の最新テクノロジーに精通しているのはもちろん、専門的な知見に基づいた説得力や周りを巻き込みながら推進していける行動力が必要です。そうした意味で、民間の企業でそうした経験やスキルを発揮し、活躍してきたプロフェッショナルの方にコミットいただくことは、市政改革を急速に推進する近道だと確信しています。
──「デジタル化専門官」はプロジェクトの要といえそうですね。具体的に、候補者の方と共にどのようなことを実現していきたいと考えていますか。
庁内は自他共に認める「文書中心型」の文化が根深い組織でしたが、現在は全フロアに無線LANが導入され、ペーパーレス化やフリーアドレス化も進んで、今年5月にはチャットも導入しています。当初は反対意見も出ましたが、ICT化により作業効率は確実に上がっていると実感しています。
しかし、市政改革はまだまだ道半ばです。私が庁内調整役を担いますので、デジタル化専門官になった方には新しい仕事のスタイルやICTの活用法を遠慮なく試していただき、自治体という枠にこだわらず新たな施策を次々と展開していってほしいと思います。
トライ&エラーを繰り返しながら、地域や行政の課題解決のモデルをつくり、50年後、100年後に市民の皆様に「神戸に暮らして良かった」と思ってもらえるまちをつくる。そんな未来像、価値観を共有しながら、前例のないアクションを共に起こしていきたいですね。
主役は職員。ICTで庁内の最適化をサポートする
神戸市企画調整局 情報化戦略部 ICT業務改革専門官/砂川 洋輝
──砂川さんはハードウエアエンジニアとして働かれた後、フィンランドへ留学して、帰国後に入庁するという異色の経歴をお持ちです。入庁に至った経緯をお聞かせいただけますでしょうか。
入庁する前、私はフィンランドのアールト大学に留学してサービスデザインを勉強していました。そこでは、学生と企業がチームを組んで実際の課題解決に挑む授業があり、私がいたチームではヘルシンキ市が抱える市民サービスの課題に取り組んでいました。
神戸市の求人を見たのは、ちょうど留学を終えて帰国するタイミング。私自身、神戸市出身ということもあって、以前から何かしら神戸に関われたらという漠然とした思いがあったのですが、大学で実践したヘルシンキ市との取り組みを日本で試せるチャンスになるのではないか、という期待もあり、思い切って行政の世界に飛び込んでみることにしたのです。
──公務員としての経験も行政との接点もないなかでの入庁ですが、実際に職員として働かれてどんな印象を持たれましたか。
私が入庁したのは2017年7月なのですが、当時はまだ市役所内のICT環境が整っておらず、会議室に誰もノートパソコンを持ち込んでいないことに衝撃を受けました。森課長をはじめ、多くの方の協力と努力があったからこそ、2年間という短期間で庁内が劇的に変わったのだと実感しています。
現在は、全館無線LANとなってネットワーク環境が整っただけでなく、情報化戦略部をより働きやすい空間にするため、不必要に書類をため込んでいたキャビネットを半減させ、オープンなミーティングスペースをつくるなど、目に見える形でも変化が起きています。まさに、業務改革の過渡期といっていいでしょう。
小さな成功体験から、「できる」「楽しい」を拡散していく
──そうした環境下で、砂川さんはICT業務改革専門官としてどのような活動をされてきたのでしょうか。
私のミッションは、テクノロジーとサービスデザインをテーマに、職員が働きやすい職場を考え、仕組みをつくっていくことだと考えています。あくまで主役は職員。職員が自ら考え、行動して改善できるように日々アプローチしています。
たとえばIT分野において、基幹系システムの保守運用やネットワーク環境の整備を「守り」とするなら、新たなテクノロジーを導入する「攻め」の部分は、庁内ではまだ足りていません。攻めのITを実現するためにはあまりにも武器が貧弱だったんです。そこで、上長にクラウドサービスの活用を提案することにしました。
──そのクラウドサービスの導入は実際にどのように進めていったのですか。
下水処理場の職員から「現場でiPadを活用してペーパーレスを実現できないか」という相談がありました。業務の性質上、クラウドサービス以外に選択肢が考えづらかったので、情報政策担当者と業務フローや扱うデータのセキュリティ、端末管理や契約形態など多方面から議論を重ね、サイボウズ株式会社の「kintone」を用いた実証実験を行いました。そこで一定の効果が認められたため、デスクワークにも実証実験を拡大することとなり、歯科衛生士の雇用調整業務にも「kintone」を活用してもらいました。
特に後者は好評で、庁内の成功事例として広く認知されるきっかけとなり、9カ月がたった今では13課が活用しており、検討中を含めて約30業務で「kintone」が浸透しています。その他のクラウドサービスも、徐々に庁内に浸透していることを実感します。
──一つの提案から一気に広がっていったのですね。神戸市の職員として業務改革に携われる魅力や独自性についてもお聞かせください。
他の自治体と比べて、神戸市職員は新しいことに興味を持ってくださる方が多いように感じます。また、サイボウズと事業連携協定を結んだり、有名なサービスデザインのエージェンシーと協業したりするなど、庁内外のネットワークを広げながらさまざまな現場をじかに見て回れるのも、この仕事ならではの醍醐味ですね。
現在は、神戸市役所でICTを活用したボトムアップの業務改善の動きを加速する意味で、ICTに関心の高い職員のコミュニティーを同僚たちと立ち上げようとしています。これから入庁されるデジタル化専門官がファシリテーターとして加わり、自動的にプロジェクトが円滑に回るという仕組みになればと考えています。
自治体というと保守的なイメージが強いかと思いますが、神戸市は一人一人の意見を尊重し、全力でサポートしてくれるので、想像以上に自由に動き回れます。ICTを通じて行政の変革に関わりたい方や、民間で培った知見を自治体で生かしたいというチャレンジ精神にあふれた方にとって、絶好の環境であることは間違いないでしょう。
今回の募集について
神戸市は、50年後、100年後もずっと魅力的であり続けるまちとして、少子高齢化に対応し、自然災害にも強い、安心して暮らせる「デザイン都市・神戸」を推進しています。施策を進めるうえで、マンパワーの強化、アナログからデジタルへのシフトによる地域および庁内の生産効率向上は急務です。
現在、ICT業務改革に取り組んでいますが、取り組むほどに痛感するのが、ICT領域における専門的知見や実績のある人材の必要性です。今回は、3年間の常勤任期付き職員としてデジタル化専門官を迎えるべく、前例や慣習にとらわれずにプロジェクトを推進できる環境を準備しています。
テクニカルなことだけではなく、職員の意識改革も含め、ICTを用いた画期的な行政改革の戦略を立てて、周囲を巻き込んで実行できるコミュニケーション能力に長けた人材をお待ちしています。
求める人物像
ITの知識や技術力は必要としていますが、それよりもそうした技術をわかりやすく伝えられる伝達能力、臨機応変に采配を振る調整能力を重要視しています。というのも、プロジェクトを円滑に進めるうえで、市長や職員への働きかけは不可欠となるからです。
庁内調整は森氏が担いますが、専門的な知見に基づいた説明が求められることは多々あり、大きな案件をプレイングマネージャーとして担う可能性もあります。大企業で新規のプロジェクトを立ち上げた経験や、大企業勤務を経てベンチャー企業に再就職した経験がある方など、企画立案からシステム構築までプロジェクトを管理できる能力は必要となるでしょう。
公務員としての誇りや責任を持ちつつ、指示を忠実に実行するのではなく、ゼロから1を実現できることを期待しています。
得られるキャリア価値
現在、情報化戦略部のメンバーは8名ですが、各案件は1~2名で担当しています。最近では、ICT化を推進するために、外部の民間企業と連携してプロジェクトを進めるケースも増え、有名ソフトウエア会社とタッグを組むなど、民間企業では得難いビジネスチャンスや人脈を広げられる可能性も大いにあります。
また、任期終了後も希望に応じて任期延長や、ビジネスパートナーとして神戸市と関わりを深めていくこともできます。これまで培ってきた知識や経験を生かしながら、民間の枠を超えてキャリアの幅を広げていきたいという方は、ぜひご応募ください。
募集職種
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業務デジタル化の加速を担う「デジタル化(DX〈Digital Transformation〉)専門官」の募集
神戸市が働き方改革の一環として進めている「業務のデジタル化」について、ICTに関する専門的知見や民間のノウハウを活用し、さらに加速させるプロジェクトのマネージャを募集します。 神戸市では、2040年「現在の半分の体制でも市民サービスが供給できる体制」と、市民サービスの高品質・高付加価値化を実現し、神戸の都市成長とブランド化を推進するため、ICTの大胆かつ迅速な導入を行うべく業務のデジタル化を進めています。まだまだ発展途上である市役所の業務について、培われてこられた知識や経験からデジタル化に向けた事業を生み出し、推進していただきたいです。 【業務内容】 (1) 業務のデジタル化とICT導入による業務改革のプロジェクトマネジメント 市民・事業者を対象に行われる業務や、内部事務、政策決定工程にICTを導入し、生産性向上を図る個別テーマを自ら発掘、あるいは所管課からの相談等を基にテーマを設定し、イノベーションライン等の係長級とともにプロジェクトを推進する。 (2) 市長・副市長、情報化戦略部長をはじめとする幹部層へのデジタル化・ICTに関するアドバイス 市長・副市長、情報化戦略部長をはじめとする幹部層へのICT・デジタル技術に関する質問に回答し、アドバイスを行い、必要に応じて業務のデジタル化・ICTによる業務改革の提案を行う。特に新技術の動向や行政における導入に向けた課題等についてアドバイスを行う。 (3) 情報化戦略部・イノベーション担当課長とともに、デジタル化に関する企画、立案 情報化戦略部・イノベーション担当課長とともに、庁内業務及び市民サービスのデジタル化に向けた施策の企画・立案や、各所属の業務デジタル化に向けた提案、支援、具体的工程の検討、ベンダー・スタートアップの調達調整、情報化戦略部の各ラインとの調整を行う。 (4) デジタル化・ICT導入に関する職員のリテラシー向上施策の推進 神戸市職員のICT・デジタル技術リテラシー向上に向けた施策を検討し、業務改革課等と連携して推進する。 【その他】 ・選考は、1次選考:書類選考、2次選考:オンライン面談、3次選考:面接を予定しています。 ・2020年4月から業務をお任せしたいと思っています。