2011年下半期は、金融・IT・コンサルティング業界に光!?
こんにちは、「ビズリーチ年収1000万円研究所」所長の佐藤和男です。
この研究所では、年収1000万円以上のビジネスパーソンに対してさまざまなアンケートを取り、"年収1000万円を稼ぐビジネスパーソンの考え方"を調査しています。
今回は、ビズリーチに登録するヘッドハンターに対して、ハイクラス・エグゼクティブクラスの転職市場動向についてアンケートを行いました。現在の市場動向に加え、2011年下半期はどのように変化していくのか、最新情報をご覧ください。
57%が昨年比より「良くなっている」と回答
非常に良くなっている | 9% |
---|---|
良くなっている | 48% |
変わらない | 26% |
悪化している | 17% |
非常に悪化している | 0% |
「非常に良くなっている」「良くなっている」を合わせて57%が昨年比より市場が良くなってきていると答える結果になりました。現状では「悪化している」と答えた人が17%にとどまったことからも、昨年に比べると状況は好転していると言えるようです。
下半期は大荒れの予想
非常に良くなる | 7% |
---|---|
良くなる | 24% |
変わらない | 37% |
悪化する | 28% |
非常に悪化する | 4% |
下半期の転職市場は、「非常に良くなる」「良くなる」が31%、「変わらない」が37%、「悪化する」「非常に悪化する」が32%と、意見が割れる結果になりました。震災の影響を受けて有効求人倍率が悪化していることや、製造業の多くが被災していることからも業界によって転職市場に変化が訪れる傾向にあるのかも知れません。
それでは、それぞれの代表的な意見を抜粋してご紹介します。
「良くなる」と回答した意見
- ・震災復興において外資系企業を中心にリソースニーズが増加することが予想されます。震災の影響で外国人が帰国し、日本への長期出張を拒否する外国人が多いため、その分の採用枠が増加してバイリンガルな日本人の需要が高くなると思われます。
(外資系専門ヘッドハンター) - ・金融機関は震災の影響はかなり薄まり、積極採用に転じていくと予想。
(金融・保険専門ヘッドハンター) - ・金融業界では、震災の影響で日本株が明らかに割安となっており、海外の機関投資家が日本株を従来以上に買う動きが非常に特徴的であり、証券会社の本業は伸びると思われます。復興するために大幅な資金調達が必要になっており、これらの資金調達の際には証券会社のキャピタルマーケットが潤う可能性になる可能性が高く、そうした面でも震災特需の恩恵にあずかる企業が出てくると思われます。
(金融業界専門ヘッドハンター) - ・震災の影響で全体的には市況は悪化すると思われます。ただ、長期的なスタンスで採用戦略を強化している求人企業にとっては良い人材を迎えられる好機であり、既にいくつかのクライアントから強い求人要請を受けています。メディカルや復興需要関連企業など中長期に渡って採用ニーズは高くなると思われます。また、震災を機に規制緩和や産業構造の転換スピードが加速すると予想されるため、内外で財務基盤のある企業は新規事業立ち上げに伴う企画開発実務やマネジメント経験豊富な人材の採用ニーズが高まると思います。
(メディカル専門ヘッドハンター)
「変わらない」と回答した意見
- ・コンサルティング業界では、IFRS(国際会計基準)やグローバルサプライチェーンなどで求人が増えると予想しますが、今後震災の影響でIT投資を控える企業もあると予想されるため、プラスマイナスゼロで上半期と同程度になると予想。
(コンサルティング業界専門ヘッドハンター) - ・業界やポジションにもよりますが、ミドルエグゼクティブクラス(マネージャークラス)の場合、ポジションが限られているため採用は比較的安定しているため。若手のポテンシャル採用の場合は、経済状況に比例しますがミドルエグゼクティブクラスの場合は不景気だからこそ即戦力を採用して積極的に攻めていきたいと考えている企業がいるため。
(IT・コンサルティング業界専門ヘッドハンター) - ・私は経営層の採用を担当しているため、経済状況が良ければ良いで、一層の事業推進・開拓の責任が求められますし、経済状況が悪ければ、経営層のリプレイスや経営戦略見直しの立役者等が必要になります。そういった意味で「上半期と比較して変わらない」と思います。
(経営層専門ヘッドハンター)
「悪化する」と回答した意見
- ・震災の影響で採用を控える企業が増えるのではないかと危惧。
(ハイテクメーカー専門ヘッドハンター) - ・震災の影響が出るのはこれからで、企業が経費削減に走ると思われるため。原発問題の深刻化および長期化、電力不足によるビジネス・経済への影響は大きいと予想。日本の地震リスクが露見し、中長期的には外資系の縮小や、日本から成長著しいアジアへの移転が進むと思います。
(メーカー専門ヘッドハンター)
金融・IT・コンサルティング業界は好調もしくは横ばいか。
未曾有の事態となった東日本大震災。これまで私たちが直面したことの無い大規模な被災と、今もなお続く原発問題。3月11日以降、日本は変わったと言っても間違いは無いでしょう。
しかし、被災地の復興はもちろんのこと、日本全体の経済復帰は急ぐべき課題です。有効求人倍率が1年5カ月ぶりに下回り、0.61倍となってしまった今、企業の立役者となるハイクラス・エグゼクティブクラスの転職市場は盛り上がるべきことだと言えるでしょう。そんな中、ヘッドハンターたちが金融やIT、コンサルティング業界に好調の兆しを見ていることは日本にとって大きな光と言えるのかも知れません。
【アンケート実施概要】
- ・実施期間:2011年5月23日~5月29日
- ・対象: ビズリーチ会員のビジネスパーソン(平均年収1,159万円):1393名
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